最近(2024年以降)発表した短歌のごく一部抜粋です。
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貧血の寸前にくる焦燥の、コンクリートブロックの手ざわり
話さないことの幾つか 手のひらを内側にしてひとはみな立つ
カーテンの柄に小鳥がいたことに気づいて今だれかと話したい
水を飲む一輪挿しとなってゆく内側のかたちを意識する
バゲットも静物画めく予報では止むはずだった雨のあかるさ
冬からのゆびに耳朶ふれられてめくれる幾ページかの記憶が
死について話していた、と気がついたときには 彗星の尾の残光
あの映画のあの果てしない結末をあなたは寂しいと思うこと
わかるのはいつも今さら感傷は遠い星よりとどく瞬き
すべてのわたしは一過性 惑星の模型の中をひとり巡った